oto toy amulet

oto toy amulet【一昨日アミュレット】
（こちらはサテン地になります）

生まれ育ったところが茶畑や竹林を開拓した新興造成地だった。
ほぼ同時期に建てられた住宅が集まる界隈から少しだけ足を伸ばすと
周辺にはまだまだ田畑や雑木林が点在し長閑な日々を送っていた。

戦後20年近く経って爆発的に増えた人口に対応すべく
通っていた小学校は地域のマンモス校ですら補えなくなった急場拵えの分校で
設備や遊具は劣ったがピカピカの清潔感はあった。
私の住む町内は小学校区の最果てで、一緒の方向に帰る友達が一人減り、二人減り・・・と
最後は必ず一人歩きになって家へ到着するという状態。

当時、ニュースでは下校途中の子供が拐われる事件が大きく取り上げられていて
「知らん人に声かけられてもついていったらアカンのよ」
「『オヤツあげる』『おもちゃあげる』とか近づいてくる人がいたらキッパリと断りなさい」と
口酸っぱく言われていた。
ほんの何百メートルでも小学生には心細い時がある。

そんな時は、ぺんぺん草を指先で転がし
三角形のバチ型の実の中にシャラシャラと鳴る種子の音色を聞いて
自分の心を強く保とうと集中していた。
親が言うには私は2歳くらいから、紙でも布でも端っこをクリクリと巻き込む癖があったそうだ。
そうすると程なく落ち着いて眠り始めたり、何かを思いついて始めたりする子供だったらしい。
今でも何かが閃くのは、クリクリ中か、散歩中か、湯船でぼんやりしている時が殆ど。

効き目は定かではないものの、私にとってはお守りのように心強い草だが「ぺんぺん草も生えない」などと値打ちの無い荒れ果てた土地を形容するのに使われる少々不憫な植物だ。
ならば、この度はちょっとお澄ましした風格のある図案にして進ぜよう。


生地の色合い、風合い等、それぞれのPCによって異なりますのでご了承くださいませ。
サイズ：45cm x 45cm

＊こちらの商品はクッションカバーのみの販売となります。クッション本体は含まれません。
型番 C/#25　ソレイユ
販売価格
5,500円(税500円)
購入数
枚